ドライブチェーンの調整

ドライブチェーンにたわみが必要な理由

バイクのドライブチェーンは、エンジンからパワーを伝えてホイールを回転させる重要な部品です。
ドライブチェーンはピンと張り詰めた状態ではなく、必ずたわみもしくは緩みがあります。
たわみがあることは、正確なシフト変更、パワーの伝達効率、および長期的な耐久性に必要だからです。

というのも、バイクの場合ドライブスプロケットがピボットシャフトの前方に配置されています。
この配置だと、走っている時に路面状況やGのかかり具合によってタイヤが上下し、リアサスが動く時にドライブスプロケットとチェーンの動き方が同調しなくなってしまうのです。
張り詰めた状態で回していると異常な負荷がパーツにかかりますし、チェーンが切れたり外れたりするリスクが高ります。
そのため、余裕を持たせて余分な負荷を逃がすためにたわみが設けられているのです。

ドライブチェーンの適切なたわみについて

ドライブチェーンの適切なたわみの量はバイクメーカーやモデルによって異なります。
一般的には、チェーンの下を手で少し押し、上部を引っ張ったときに指で1〜2 cmほどたわむくらいが適切とされています。

チェーンが新しい場合は、最初は適切なたわみよりも少し緩めに設定されています。
これはチェーンが使用中に伸びるため、調整が必要になる可能性があるためです。
そのため、走行状態によっても多少の調整が必要となってきます。
全体的に言えるのは、リアサスをフルボトムにした時、ある程度たわみがあって張っていない状態がベストです。

ドライブチェーンの調整方法

ドライブチェーンを調整するには、まずバイクをセンタースタンドに乗せ、エンジンを停止させます。
次に、リアホイールのスプロケットとチェーンを点検しましょう。
チェーンに破損やサビがある場合は、交換する必要があります。
また、スプロケットの歯に傷や欠けがある場合も交換する必要があります。

その上で、リアホイールを軽く回転させながら、チェーンを上部で引っ張ります。
チェーンのたわみが適切でない場合は、リアエンドのチェーンアジャスターを調整してたわみを調整します。
チェーンアジャスターは、リアエンドのスイングアーム上にあります。
この調整を行うには、アジャスターナットを緩めてアジャスターボルトを回転させます。
一方でチェーンが締めすぎである場合はアジャスターナットを締めて、チェーンを少し緩めます。

ドライブチェーンを調整した後は、リアホイールを軽く回転させながら、チェーンがスプロケット上で正確にシフトすることを確認します。
また、調整後にチェーンが締めすぎでないか、あるいは緩すぎでないかを確認するために、たわみの量を少し走行させた後に再度確認することも重要です。