山道(ワインディング)の走り方
山道での基本的な視線の配り方と乗車姿勢
ツーリングの醍醐味といえば、自然に囲まれた山道やワインディングロードを駆け抜けることです。
しかし、平坦な直線道路とは異なり、山道では連続するカーブや勾配の変化に対応するための基本的な技術と心構えが求められます。
まず最も重要になるのが、走行中の視線の配り方です。
人間の体は不思議なもので、自分が見ている方向に向かって自然と進んでいく特性を持っています。
そのため、カーブの入り口で目の前の路面ばかりを見つめてしまうと、スムーズに曲がることができず、結果として外側に膨らんでしまう危険性が高まります。
カーブに進入する際は、常に自分が次に進むべき方向、つまりカーブの出口側へと視線を意識的に向けることが大切です。
また、乗車姿勢も山道を安全に走るための重要な要素となります。
ハンドルに余計な体重をかけて強く握りしめてしまうと、バイク本来が持っているセルフステアという自然に曲がろうとする力を妨げてしまいます。
下半身はタンクをしっかりとニーグリップして車体を安定させつつ、上半身の力は適度に抜き、腕は軽く曲げた状態を保ちましょう。
特に下り坂のカーブでは、どうしても体重が前方にかかりやすくなるため、より一層下半身でのホールドを意識し、腕の突っ張りを防ぐ必要があります。
こうした基本的な視線の使い方とリラックスした姿勢を維持することが、連続するカーブをリズミカルに、そして安全にクリアしていくための第一歩となります。
ブラインドカーブに潜む危険と予測運転の重要性
山道を走る上で絶対に忘れてはならないのが、先が見通せないブラインドカーブの存在です。
木々や崖に遮られてカーブの先がどうなっているのか全く見えない状況では、常に最悪の事態を想定した予測運転が不可欠となります。
ブラインドカーブの先には、落ち葉や砂利が浮いているかもしれませんし、雨上がりであればそこだけ路面が濡れていて滑りやすくなっている可能性も十分に考えられます。
また、自然豊かな山道ならではの危険として、野生動物が突然飛び出してくることも珍しくありません。
さらに恐ろしいのは、対向車線の車やバイクがセンターラインを大きくはみ出してくるケースです。
特に道幅が狭い山道では、大型のトラックやバスがカーブを曲がりきれずにこちら側の車線に侵入してくることがあります。
このような予期せぬ事態に直面した際、スピードを出しすぎていると回避するための時間や空間の余裕がありません。
ブラインドカーブに差し掛かったら、まずは確実にスピードを落とし、いつでもブレーキをかけて停止できる状態を作っておきましょう。
そして、カーブの先が見え始めた段階で、路面状況や対向車の有無を素早く確認。
安全が確保できたと判断してから徐々にアクセルを開けていくという手順を癖づける必要があります。
自分のペースを守り無理な追い越しをしないこと
山道を走っていると、どうしても前の車が遅くてイライラしてしまったり、逆に後ろから速いバイクや車が迫ってきて焦ってしまったりすることがあります。
しかし、山道において最も大切なのは、周りの状況に流されることなく、常に自分の技術と経験に見合ったペースを堅く守り抜くことです。
前を走る車が遅いからといって、見通しの悪い短い直線やカーブの途中で無理な追い越しをかけることは、取り返しのつかない大事故に直結します。
山道での追い越しは、見通しが良く、なおかつ法律で追い越しが許可されている安全な直線区間でのみ行いましょう。
もし、どうしてもペースが合わずストレスを感じるようであれば、無理をして追い越すのではなく、見晴らしの良い展望台や安全な路肩を見つけて一度バイクを停めてください。
景色を楽しみながら小休止を取る心の余裕を持つことが大切です。
また、後ろから自分よりも明らかに速いペースで走る車両が近づいてきた場合は、焦ってスピードを上げて逃げようとするのは絶対に避けてください。
不慣れなスピードで山道を走ることは、オーバースピードによる転倒やコースアウトのリスクを一気に跳ね上げます。
後ろから煽られているように感じたとしても、決して慌てることなく、ウインカーを出して安全に左側に寄れる場所を見つけ、スムーズに道を譲るのがスマートなライダーの振る舞いというものです。
山道は公道であり、レース場ではありません。
無事に家に帰り着くまでがツーリングであることを常に胸に刻み、自分自身が心地よいと感じるペースで、山の空気やバイクとの一体感を存分に楽しみましょう。
